チョーキング、タッピング、ライトハンド奏法、ピッキングハーモニクス
2003年1月18日―――――――――――前日の続き――――――――
次は俺らの番だったけど早くあの子と話したかった。
この「うおおおおお!!」ってなってる感覚のままあの子と話したかった。
急いで自分の楽器取りに行って舞台そでまでダッシュして話してみた。
―自分すごいやん!ビックリした。
「あははは、ありがとー」
リハとは言え演奏後でテンションが上がって満面の笑顔だった。
その後俺らのリハーサル。
俺らは完全にその場で浮いてるので中途半端にやると余計に恥と悟り、
オシャレさん達を引かすくらいのテンションで乗りきる事を決行。
曲が始まる。
今まで何度もやった自分らで作った曲で自分でも気に入ってる。
「今はまだしょうもないかも知れんけど、
誰か助言をくれる人がいたらもっといい曲になるはず。」
と心のどっかで思ってて、やってる最中にそれが表に出た。
あんなちっちゃい女の子が素であんなカッコいい事やってんのに俺らはなんや。
あの子らは自分で作った曲にめっちゃ自信持ってやってる。
んで俺らは「誰か助言くれる人がいたら〜」ってなんやそれ。
俺らは中途半端すぎる。格好だけや俺らは。
もう舞台に立ってるのも嫌になった。
楽屋の向こうで俺らより数段上のレベルにいる同世代の子が俺らを笑って見てる。
早く終わらせて欲しかった。
もう中途半端なバンドで中途半端なメタルやってる事が恥以外の何物でもない事を悟った。
願わくばあの子が俺らの演奏を聞いてない事を祈った。
リハーサルが終わってあの子のところへ真っ先に向かってって
自分らの恥を忘れるようにその子のバンドをさんざん褒めちぎった。
互いの出番までのあいだずーっとその子と話した。
どんな生活をしてそんな考え方をしてどんな環境であんな曲と歌詞が作れるのか知りたかった。
その子からなんでも吸収したかった。
バンドの事、大学の事、理想の音楽の事、さっきリハ中に俺が思った事、それから英語歌詞へのこだわり。
聞けば何でも答えてくれた。
今思えば周囲にお互いのバンドのメンバーがいたのにお構い無しだった事を反省。
―〜〜だから今日の本番、全くやる気が起きん。さっさと終わらせて君のバンドを見たい。
「あかんよそれは。それをやったら遠山君の事嫌いになるよ。もし最後にするつもりやったら真剣にやりなさい。」
出番が来て真剣にやった。
舞台そでに引っ込んで彼女と会った。
「お疲れさん」
―カッコ良かったかな?
「うん」
彼女の出番。
圧巻だった。
自分達と同い年の子らの圧倒的な実力に叩きのめされた。
イベントが終わって打ち上げの時、電話番号を聞いてデモテープを貰った。
最初は下心丸出しで話したけどそんな感情よりも単純に嫉妬して憧れてファンになった。
その後も電話で話したり彼女のライブに行ったりした。
ライブの客も毎回目に見えて増えていった。
俺はバンドを解散させて、学校で裏方になるための勉強を始める事を決めた。
俺が卒業する頃彼女のバンドがCDを作った。
インディース扱いのレーベルだけど背後には某メジャー会社がついている。
CDが売れて、とうとうメジャー会社と契約した。
メジャー一発目のシングルはドラマの主題化になるらしい。
―すごいやん。ドラマの主題化で日本人が歌う英語歌詞ってゴダイゴ以来の快挙かもな(笑)
「ん〜…歌詞日本語やねん。」
―え?なんでまた急に。
「そうしろって言われたから。」
―それでええんか?
「まぁこれで上手い事いったら後は好き勝手やらせてもらうし」
自宅に届いたCDから彼女の日本語が聞こえた。
日本語で歌ったシングルはたくさん売れて彼女は東京に引っ越した。
当然ほとんど遊べなくなり、俺もスタジオに就職が決まって電話もあまり出来なくなった。
2枚目、3枚目と曲を出しては自宅にCDが届いた。
相変わらず歌詞は日本語だった。
枚数を重ねる度に違和感が募り、TVで流れる事も少なくなった。
とうとう彼女との連絡が途絶えて、声を聞くのはテレビとラジオだけになったが
その出演回数も徐々に減っていき、事実上世間からも俺からもフェイドアウトしていった。
その頃俺も仕事に失望し、職を失う。
しばらくして彼女から年賀状が届いた。
「元気?お互い色々あったけど、お互い「折り合い」って言葉について考えさせられる日々だったね。君は君の「折り合い」に振り回されてあたしはあたしの「折り合い」に振り回されっぱなしだったよ。また大阪帰ったら遊ぼうね。」
その春に彼女と久々に会った。
俺の知ってる彼女よりずっと身近に見えた。
―もっと早く言うべきやった事があんねんけど。
「何?サイン?(笑)」
―いやいや、俺君の事好きやった。
「知ってたよ」
―知ってるわなぁ。でも言えんかった。
「それも知ってる」
―なぁ、仕事やめて俺とこっちに住まへん?
大阪に家賃安いとこ見っけてねことか飼ってさ。
「だめ。向こうに彼氏いるから」
―そうかぁ、そいつとは結婚すんのかな?
「かもしれんね。しないかもしれんし。」
―じゃぁもう会わんほうがいいね。
俺は一人の女として君の事を感じるようになってしまったから、
たぶん何度も会ってると今よりもっと惚れてしまうと思う。
その後メシ食って一泊してウチに帰った。
以来なんの音沙汰もナッシング。
人生の師であったりライバルであったり片思いの相手でもあった彼女の事は良い思い出となりました。
新成人の方々も人との出会いは一期一会なので出会いを大事に
後悔の無い人生を歩みたいもんですね。
…ととりとめの無い思い出話に無理矢理オチをつけてみる。
次は俺らの番だったけど早くあの子と話したかった。
この「うおおおおお!!」ってなってる感覚のままあの子と話したかった。
急いで自分の楽器取りに行って舞台そでまでダッシュして話してみた。
―自分すごいやん!ビックリした。
「あははは、ありがとー」
リハとは言え演奏後でテンションが上がって満面の笑顔だった。
その後俺らのリハーサル。
俺らは完全にその場で浮いてるので中途半端にやると余計に恥と悟り、
オシャレさん達を引かすくらいのテンションで乗りきる事を決行。
曲が始まる。
今まで何度もやった自分らで作った曲で自分でも気に入ってる。
「今はまだしょうもないかも知れんけど、
誰か助言をくれる人がいたらもっといい曲になるはず。」
と心のどっかで思ってて、やってる最中にそれが表に出た。
あんなちっちゃい女の子が素であんなカッコいい事やってんのに俺らはなんや。
あの子らは自分で作った曲にめっちゃ自信持ってやってる。
んで俺らは「誰か助言くれる人がいたら〜」ってなんやそれ。
俺らは中途半端すぎる。格好だけや俺らは。
もう舞台に立ってるのも嫌になった。
楽屋の向こうで俺らより数段上のレベルにいる同世代の子が俺らを笑って見てる。
早く終わらせて欲しかった。
もう中途半端なバンドで中途半端なメタルやってる事が恥以外の何物でもない事を悟った。
願わくばあの子が俺らの演奏を聞いてない事を祈った。
リハーサルが終わってあの子のところへ真っ先に向かってって
自分らの恥を忘れるようにその子のバンドをさんざん褒めちぎった。
互いの出番までのあいだずーっとその子と話した。
どんな生活をしてそんな考え方をしてどんな環境であんな曲と歌詞が作れるのか知りたかった。
その子からなんでも吸収したかった。
バンドの事、大学の事、理想の音楽の事、さっきリハ中に俺が思った事、それから英語歌詞へのこだわり。
聞けば何でも答えてくれた。
今思えば周囲にお互いのバンドのメンバーがいたのにお構い無しだった事を反省。
―〜〜だから今日の本番、全くやる気が起きん。さっさと終わらせて君のバンドを見たい。
「あかんよそれは。それをやったら遠山君の事嫌いになるよ。もし最後にするつもりやったら真剣にやりなさい。」
出番が来て真剣にやった。
舞台そでに引っ込んで彼女と会った。
「お疲れさん」
―カッコ良かったかな?
「うん」
彼女の出番。
圧巻だった。
自分達と同い年の子らの圧倒的な実力に叩きのめされた。
イベントが終わって打ち上げの時、電話番号を聞いてデモテープを貰った。
最初は下心丸出しで話したけどそんな感情よりも単純に嫉妬して憧れてファンになった。
その後も電話で話したり彼女のライブに行ったりした。
ライブの客も毎回目に見えて増えていった。
俺はバンドを解散させて、学校で裏方になるための勉強を始める事を決めた。
俺が卒業する頃彼女のバンドがCDを作った。
インディース扱いのレーベルだけど背後には某メジャー会社がついている。
CDが売れて、とうとうメジャー会社と契約した。
メジャー一発目のシングルはドラマの主題化になるらしい。
―すごいやん。ドラマの主題化で日本人が歌う英語歌詞ってゴダイゴ以来の快挙かもな(笑)
「ん〜…歌詞日本語やねん。」
―え?なんでまた急に。
「そうしろって言われたから。」
―それでええんか?
「まぁこれで上手い事いったら後は好き勝手やらせてもらうし」
自宅に届いたCDから彼女の日本語が聞こえた。
日本語で歌ったシングルはたくさん売れて彼女は東京に引っ越した。
当然ほとんど遊べなくなり、俺もスタジオに就職が決まって電話もあまり出来なくなった。
2枚目、3枚目と曲を出しては自宅にCDが届いた。
相変わらず歌詞は日本語だった。
枚数を重ねる度に違和感が募り、TVで流れる事も少なくなった。
とうとう彼女との連絡が途絶えて、声を聞くのはテレビとラジオだけになったが
その出演回数も徐々に減っていき、事実上世間からも俺からもフェイドアウトしていった。
その頃俺も仕事に失望し、職を失う。
しばらくして彼女から年賀状が届いた。
「元気?お互い色々あったけど、お互い「折り合い」って言葉について考えさせられる日々だったね。君は君の「折り合い」に振り回されてあたしはあたしの「折り合い」に振り回されっぱなしだったよ。また大阪帰ったら遊ぼうね。」
その春に彼女と久々に会った。
俺の知ってる彼女よりずっと身近に見えた。
―もっと早く言うべきやった事があんねんけど。
「何?サイン?(笑)」
―いやいや、俺君の事好きやった。
「知ってたよ」
―知ってるわなぁ。でも言えんかった。
「それも知ってる」
―なぁ、仕事やめて俺とこっちに住まへん?
大阪に家賃安いとこ見っけてねことか飼ってさ。
「だめ。向こうに彼氏いるから」
―そうかぁ、そいつとは結婚すんのかな?
「かもしれんね。しないかもしれんし。」
―じゃぁもう会わんほうがいいね。
俺は一人の女として君の事を感じるようになってしまったから、
たぶん何度も会ってると今よりもっと惚れてしまうと思う。
その後メシ食って一泊してウチに帰った。
以来なんの音沙汰もナッシング。
人生の師であったりライバルであったり片思いの相手でもあった彼女の事は良い思い出となりました。
新成人の方々も人との出会いは一期一会なので出会いを大事に
後悔の無い人生を歩みたいもんですね。
…ととりとめの無い思い出話に無理矢理オチをつけてみる。
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